スパルタという噂について その2
武蔵野赤十字病院の出産がスパルタと言われる最大の理由は、母乳育児を全力推進してくるからです。
『夜な夜な授乳室で繰り広げられる母親たちの母乳合宿〜』
って口コミを見かけたので、出産前に書いて提出するバースプランに「保育園に入れたいので母乳にこだわりません。混合かミルクでOK」と書きました。母乳に全くこだわっていなかったので。
な・の・に
今完全母乳で育児してます。
というのも、余程の理由がない限り、武蔵野赤十字では入院中にミルクを足させてくれないんですね。
産後すぐから母親のお乳って出るわけではないんです。そのため、産まれてから3日間は赤ちゃんは飲まず食わずでも生きられるようにできている(3日ぶんのお弁当を持って産まれてくる)らしいです。
このはじめの数日間、母乳が出ないから。といってミルクを飲ませると、おっぱいは必要ないのかと思っていつまでも出ません。
でも、出なくてもひたすら赤ちゃんに吸わせていると、4,5日目からパーンと張って出てくるようになります。
母乳が分泌されない数日は、赤ちゃんは空腹ですから泣きっぱなしです。母親は産後の傷の癒えないボロボロの体で授乳室まで子供を運び、昼夜を問わず乳首を咥えさせます。
まだ飲むことに慣れない赤ちゃんは吸うのが下手で、乳首は傷だらけに。
痛ーい!眠ーい!辛ーい!と半泣きになりながら延々と授乳練習です。
赤ちゃんが泣き続ける理由は初産の私には最初わかりませんでした。
助産師さんに「泣きっぱなしで寝る暇もなくて辛いんです」と相談しましたが、理由が空腹であることは教えてもらえませんでした。
なぜなら、赤ん坊が空腹だと知れば母親は可哀相がって絶対ミルクを飲ませたがるから。
当時の動画を見ると、我が子はいつも舌をペロペロしておっぱいを探しています。今見ると、一目瞭然で空腹なのがわかりますが、当時は分からなかったー。
泣きっぱなしだと相談した助産師さんには、「今はそういうとき。とにかくおっぱいを飲ませるべき。頑張ろう!」と励まされました。
そうして、訳も分からずスパルタ母乳合宿に飲み込まれていました。
深夜の授乳室には、泣き続ける赤ちゃんに出ないおっぱいを咥えさせる疲弊した母親たちが所狭しと集っています。
勿論、双子の出産で授乳タイミングをコントロールしたいとか、様々な理由でミルクメインにしている人もいました。しかしごく少数派です。
そして、ミルク育児希望の人も「必ず母親の乳首を5分咥えさせてからミルクを飲ませること」という約束があります。これは、産後の子宮収縮を促す意図や、栄養価の豊富な初乳だけでも赤ちゃんに与えて免疫をつける、などの意図もありますが。
どうしても眠くて辛くなった時、じゃあ少し休みましょう。と言ってミルクをくれた助産師さんがいました。
渡してくれたミルクは20cc。
うちの子は「ぜんぜん足りなーい!」と泣いて結局休むことは出来ませんでした。
私は、ミルクを足しても泣き止まないなら、この子が泣いてる理由は空腹ではないんだな、と勘違いして、ますます泣き続ける我が子に困惑していました。
そうこうするうちに、母乳不足で尿量が足りず、子供は黄疸が出ました。そこで初めて40ccのミルクがもらえました。
そしたら子供が寝たんですね、2時間ぐらい。
私気づきましたよね、多めにミルクやれば寝るじゃん!って。
(新生児に40ccって全然多くないんですけどね)
その日を境に、「黄疸が心配なんで」とか理由をつけて助産師さんにミルクをせがみました。
おっぱいを飲ませた後で、40ccのミルクを貰えるようになって、だいぶ楽になりました。
そして、おっぱいを吸わせ続けたおかげで退院時にはかなり母乳が出るようになってきました。
結局、母乳が出てよかったと今は思っています。日赤さんの母乳推進に感謝してます。
その理由は、
①ミルク作りに比べて、乳を出すだけの母乳は圧倒的に楽
外出時も授乳室さえあればミルク用品の荷物はいりません。夜中もパッと飲ませてすぐ寝られます。消毒とか温度管理とかの面倒なし!
②めっちゃ痩せる
産後2週間で妊娠前体重に戻りました。母乳ってカロリー消費が半端じゃないんです。授乳期間中は一日2500カロリーの摂取が必要と言われています。
でもあんな辛い思いをして夜な夜な授乳室に籠りっきりにならなくてもよかったな、と今は思います。
母乳にこだわらないなら、「ミルクをください!!」って言いましょう。
これを知ってるだけでも辛さが違うと思います。
産後すぐから母乳が良く出るタイプの人もいて、そういう人は全然苦労しないのでスパルタだという印象がないと思いますが、これは産んでみないと出るか出ないからわからないですからねー。
というわけで武蔵野赤十字がスパルタと言われる最大の理由と、その攻略方法でした。